2018年4月30日(月)白馬金山沢山スキー山行(例会山行)


行程:栂の森自然園出発9:00→10:00 2170m地点(休憩)→11:00 船越頭直下2400m付近(休憩)→ 12:15 稜線(2590mピーク)→ 12:30 滑降開始→ 12:40 2400m付近小尾根上で昼食休憩→ 13:00 金山沢へ滑降開始→ 14:00 白馬尻大雪渓と合流→ 14:20 猿倉駐車場着

メンバー:CL,K原、S木、U松

天気:午前快晴 午後薄曇り 好天に恵まれ風もほとんど気にならなかった。視界は360°良好であった。

 先行数パーティー、後ろからも数パーティー続いていたが、金山沢へ入ったと思われるのはわれわれを入れて2組くらいと思われる。
 30分ほどで台地状を抜け登りに入る。トラバース気味に稜線からの大斜面の下へ向かう。雪面はやや柔らかくなりかけていた。
 2400m付近からは急斜面となる。右側の小尾根へ上がり稜線を目指す。
 稜線からの下降点は急斜面で40°はありそうだが凹凸も少なくきれいな雪面であった。(アイスバーンではなかった)、
 金山沢入り口までは広い斜面で快適な滑走。金山沢へ入ると上半は比較的雪の状態もよく快適に滑る。下半に入り谷が狭くなるあたりから雪崩たあとがあって滑りにくい。
 最後、大雪渓合流点まであと数百メートル(1470mあたり)というところで雪渓が大きくわれてシュルンド状になり危険な状況になっていた。板を脱いで一人ずつシュルンドに落ちないよう注意してようやく下った。(数メートル)次の日にはもうその場所は通過困難と思われた。大雪渓との合流点は雪が十分でまだ割れはじめていなかった。
 全体として雪の状態もよく十分満足の金山沢滑降であった。(U松記)
 
 金山沢スキー  キタさんのおまけコーナー
・プランの特徴  ゴンドラ・ロープウェイで楽して登り、標高差1000m以上の無木豪快バーンを滑るお楽しみコース
・登り標高差  →船越の頭東コブ 775m →2465m小尾根肩645m →2301m崩壊底台地480m
・休憩適地  ①栂池自然園西方2150m岳樺台地 駅から一時間。岳樺・栂の折れ太幹あり。   ②2301m崩壊底台地。崩壊カールを眺めてまったりできる。   ③船越の頭東コブ南東小尾根2465m肩   ③船越の頭東コブ 2595m   ④金山沢1800m地点 核心部を見返し、眼前に杓子・鹿島槍を眺められる絶好休憩ポイント。自分は毎回利用。
・登行ルート   ①岳樺台地直登 : 2260m崩壊壁に亀裂入ることあり。2301m崩壊底台地上方へ登行可能だが急。  ②岳樺台地より左(南)微コブ上に進み上方へ登る。楽。斜行うれば2301m台地。  ③船越の頭東コブへは、台地北方の緩やかな微尾根を辿り、船越の頭東コブ南東小尾根2465m肩を経て稜線へ出る。  ④台地より崩壊壁を直上して雪庇稜線を目指す。最後が超急で苦労。  ⑤小蓮華方向2600m尾根から台地へ急斜面300m挑戦したいなら、崩壊壁を左斜上して尾根に出る。稜線下には例年亀裂が入る(雪崩たのは見てないが)
滑降ルート(台地上方)   ①2301m崩壊底台地よりドロップ。登り楽して核心部を楽しむ。  ②船越の頭東コブ南東小尾根2465m肩より。崩壊壁中間下からオイシイ斜面を楽しみ金山沢へ。  ③船越の頭東コブ稜線より。雪庇下の超急斜面を斜滑降・横滑りで逃げ、崩壊面へ。上級者なら楽しめるが、中級者では登りで苦労した割に見返りが少ない。  ④小蓮華方向2600m尾根から台地へ急斜面300m滑降。無木の完璧な一枚バーンで滑りこたえがある。台地にいるギャラリーの注目の的となる。
(台地下方)   ・台地西よりドロップするが、初めにコース全体を見通したい。直接沢中心を滑るより右手一枚バーンがオススメ。  ・小沢が3本並走するが、真ん中がオススメ。右は落石多く危険度up。  ・2150mまで35°の斜面が続くが、右手はクレバスが何本も開く。常に下方を注視し沢中心部を滑ること。  ・2150m~2050m間は中斜面。その下はまた急になるのがクレバス注意。今年は沢センターまで入っていた。  ・2000mから右にカーブするが1950m地点から右に斜滑降し、(毎年出る)デブリを超えて緩い大バーンに移る。ここから標高差200mがコース一番のゆったりバーン。  ・1700mで右から沢が合流。以下は展望のない狭窄部となり、右手よりのデブリが多くなる。石・クレバス注意。主に左斜面を横滑りで通過する。  ・二度左折した1500m下で今年は大きく沢割れしていた。左岸にへばり付いた狭い雪斜面を慎重に通過。左シュルンド・右下川底間の切れたスノーブリッジを板を外して渡る。先行者のトレースに従ってしまったが、安全第一を考えて右岸側の地面ルートを取るべきだったと反省した。  ・1450m平坦屈曲部を大きく右に回り込めば白馬沢出会い。心配したが完全に埋まっていた。降り口の沢中にある岩は出ていたが、雪はしっかりついていた。
  ・右手上に白馬尻からの道路が見えるがそこへは上がらず下方堰堤の右肩に滑り、ヘアピンS字下の道路に乗り上げる。工事用道路を辿り猿倉荘上でショートカットすればPに到着する。
アクセス   ・ゴンドラ始発8:00 (通常8:30) ¥1360  ロープウェイ¥560 計¥1920(シニア割引なし)
・地形地質   大規模山体崩壊・地滑り堆積地  20年位前は、猿倉~白馬尻付近の堆積物は氷河堆積物と言われていた。ところが、専修大学の苅谷先生達の調査研究により、山体崩壊堆積物であることが判明した。根拠は、地形・岩質・形状・堆積構造など。時代は、十数万年前~数万年~現代に至る長期間。自分が初めて金山沢を滑るべく足を踏み入れた時、凹凸斜面の連続を不思議に思ったが理由は解からなかった。地形図を見ると、小蓮華東尾根から南東側にかけて何段もの階段状地形・凹凸が繰り返されている。いわゆる皺地形である。コブ数は12,、凹部多数、池も雁股池等5か所ある。似たような地形は同じく山体崩壊堆積地の佐野坂丘陵や白馬柳又谷源頭鉢岳南西側・高天原などに見られる。山体崩壊ではないが、焼山北方台地は溶岩流による皺地形が見事だ。浅い沢が多く全体的には凸状をなす斜面は、同じく山体崩壊・地滑りを繰り返した姨捨棚田の地形にそっくりだ。
線状凹地(二重山稜・船窪)  雷鳥坂~小蓮華~三国境にかけては国内屈指の?場所だ。近年、小蓮華山山頂付近に亀裂が入り、登山道が付け替えられた。昔は二重山稜は雪蝕地形と言われていた。雪融け水が地盤を浸食するという。自分はこの説明には以前から疑問だった。ずれ落ち地形、やはり断層だろうと。近年研究が進み、大規模崩落により横からの支えがなくた山稜がずれ落ちる「重力地形」であると判明した。二重山稜のある場所はやはり山体崩落地にあるようだ。例えば、蝶が岳(砂岩泥岩層が西傾斜方向にずれる)・種池小屋付近(扇沢が崩落~苅谷先生に聞いてみたところ、まだ解明されてないがその可能性あり~旧扇沢ロッジの建つ台地が堆積物台地か?)・南ア間ノ岳~農鳥岳など。
火山   一帯は北アルプス北部で火山の集中する地域だ。旧期白馬大池火山には稗田山80~70万年前、蒲原山・鵯峰60~50万年前がある。新期火山には乗鞍岳17万年前、箙岳・風吹岳7万年前~現在がある。栂池~北野や横前倉岳ツアーの折に風吹岳付近で見る地熱帯は最新の火山活動によるものだ。

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  • 栂池からの湖蓮華・白馬岳
    栂池からの湖蓮華・白馬岳
  • 2465m肩から杓子・鹿島槍
    2465m肩から杓子・鹿島槍
  • 崩壊壁を滑るU氏
    崩壊壁を滑るU氏
  • 1880mでつくろぐ
    1880mでつくろぐ
  • 猿倉Pからの白馬岳
    猿倉Pからの白馬岳