2021年11月 3日 瑞牆山 十一面岩左岩壁マルチピッチクライミング 錦秋カナトコ~山賊79黄昏(個人山行)


行程 8:30瑞牆自然公園駐車場→9:30取付き→12:00 4p終了点→14:30 最終ピッチ終了点→16:00取付き

メンバー:CL/S川 S谷 H岡 K藤

 ここのところ瑞牆のマルチを何本か登り自信もついてきたので、このルートも登れるのではないかと思い企画した。最高グレード10bと自分にとってはチャレンジングなルートだが、この山行の前に錦秋カナトコルートに登っていたので、わりと気楽な気持ちで取付いたが甘くなかった。

 1ピッチ目は自分のリードで登攀開始。出だしは足があまりないのでフレークをアンダーでとる形になり力を使うが、フレークがガバガバなので問題なし。2ピッチ目(10a)をS谷さんがリードで登る。細いクラック沿いにスラブを登るやらしいピッチだ。S谷さんは出だしの難しい部分を難なくクリアし、問題ないかと思われたが、中間部の核心であえなくフォール。しかし、再度気を取り直し、気迫溢れる登りで核心を突破した。フォローで改めて登ってみるとやはり難しいが、微妙な体のバランスが要求される面白いピッチだ。 

 つづいて、宴会テラスに出て右側の山賊へ移る。くの字に左上するクラックだが、出だしの一手が遠く、何度かやり直してムーブを探る。バランスの悪い態勢を一瞬こらえ、なんとかダイクに立ち一息つく。その後はクラックの幅が微妙に広くガバがないため、気が抜けなかった。トポの4ピッチ目のクラックを右上するセクションもそのままつなげて登った。ここは傾斜がゆるくムーブを楽しむ余裕があった。その次はS谷さんのリードでカンテの向こう側へトラバース。S谷さんの姿が見えなくなると、壁の向こうからすごく怖いとの声が聞こえてくる。しばしロープが止まったが、意を決したようで再びロープが出てコールがかかった。フォローで進むとその言葉に納得した。足元は数m下が棚になっていて、かつホールドもほとんどないトラバースのセクションであった。自分がリードではなくて良かったと心底思った。フォローの自分は懸垂で一旦棚へ降りさせてもらった。

 いよいよ最終ピッチ。10bのセクションだ。目の前には二枚の壁の間を登るワイドクラック、右側の壁にはその先には頂上へ続くフェースが見えている。流石瑞牆またワイドかー、苦手なワイドを前にして緊張が高まる。壁に挟まる苦しさとフットジャムが外れるかもしれない恐怖でいっぱいいっぱいになりながら、なんとかワイドを抜けた。そしてそこで愕然。背の低い人には厳しいとコメントが並ぶ核心のガバは、想像より遥かに遠くとれる気がしない。背面の壁との間に開脚してみるが広くて上へ上がれない。かといってブリッジングする勇気もなく、スリングに足をかけてA1で突破。カバがとれて終わりかと思いきや、その先のクラックはフレアしていてどこを掴んでいいのか分からない。半べそをかきながら必死にクラックへ体をねじこみ、なんとかトップアウトした。あー悪かった。帰りは山河微笑みへ懸垂し、下山する頃には暗くなってしまい全員這う這うの体で駐車場へたどり着いた。

 ルートとしてはカナトコに比べ樹林帯歩きがなく継続して登れるので星三つも納得だが、最後のピッチの10bが自分の知っている10bとは差がありすぎてびっくりしてしまった。やはり瑞牆は甘くないなと感じて今シーズンの瑞牆の締めとなった。付き合っていただいた皆さん、ありがとうございました。
(K藤記)

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  •  3p出だし
    3p出だし
  •  4p終了点から
    4p終了点から
  •  5p恐怖のトラバース
    5p恐怖のトラバース
  •  最終ピッチ ワイドクラック
    最終ピッチ ワイドクラック
  •  終了点
    終了点