S谷記
同じ会のK藤さんが毎年計画されているドロミテ(イタリア)に今回参加させていただきました。
概略
ドロミテはイタリアの北部オーストリアの国境に近い場所で、クライミング・トレッキング・スキー場などで有名です。
今回はコルチナダンペッツォという町に滞在し、クライミング・トレッキングを楽しんできました。(白馬のコルチナスキー場はこの町の名前が由来です) クライミングコースは数千~数万あるとも言われ、初心者向けにはビアフェラータと言うコースが色々な場所にあります。ビアフェラータとは取り付きから終了点まで直径3cmほどのワイヤーが張られそこにセルフを取りながら登ることができます。(但し、足を踏み外したら2-3m以上は滑落します。)
今回は現地ガイドと250~550mのルートを3本登ってきました。ルートはとても分かりにくく、ガイド無しでは難しいと思いました。あとは、トレッキングやスポーツクライミングをしました。
毎日雨が1-2時間は降りましたが、日の当たる壁だと晴れるとすぐに乾きます。ホテルから車で15分~1時間ほど移動し、歩いて15分ぐらいで取り付きです。ホテルに戻るのは毎日2時前後なので、クライミング後はビール・ワインという贅沢な生活ができとても楽しい日々でした。
7/10・11:成田空港(イスタンブール経由)
ベネチア-コルチナ
ベネチアから高速バスで2.5時間ほどでコルチナです。コルチナは小さな町なので、繁華街は半日ほどでどこに何があるかわかります。今回はアパートを借りて自炊をしたので、スーパーマーケットで食料を調達しました。
注意するのは、12時~3時30分頃までお昼休みになること、日曜は当然休みです。
7/12:SCI18(ビアフェラータ)
ホテルからゴンドラ乗り場まで歩いて20分、ゴンドラの中間駅で降りて、取り付きまで30分程登ります。
SCI18は難しいランクの方です。かぶっている箇所が何か所かありますが、ワイヤーをつかんで登れる力があれば問題ありません。そこで長野から来たという2人組の女性に会いました。一人はR&Dの方だったようです。世間は狭いですね。
7/13:Tre CimeのCassinに登る
6:30ホテル出発ー小屋7:08着-9:00スタート-12:00ピーク-13:30小屋
起床時は快晴でしたが小屋につく頃は雨。コーヒーを飲みながら天気の回復を待ちました。
今回は220m・10ピッチのコース。4ピッチ目が10dレベル(Ⅶ?)かぶり気味で結構難しかった。
上に上がると風が強くとても寒い。(日が当たると暑い)ガイドは70mロープでどんどん登っていきます。
下からよく見えるので大勢のトレッキングしている人たちが立ち止まって見ています。ホールドはどこもヒビが入っているが、カチ、ガバなどが豊富にあり脆くない。
ルートはわかりにくいというか、まったくわかりません。言い換えるとどこでも登れそうですがその先で行き詰まるといった感じです。 支点も少なく簡単に見つけられません。
最初は緊張で無我夢中で登ったため、あっという間にピークという感じでした。下降は懸垂8回もかかります。
降りた後は小屋のおしゃれなカウンターでビールで乾杯。あとで考えるとこのコースが今回は一番楽しかった
7/14:Cinque Torri(チンクトリ)で軽く岩登り
K藤さんと2人でチンクトリに行き、簡単なマルチを登りました。
コルチナからバスで20分ほど、そこからリフトで上がります。帰りのバスは本数が少なく1:20か5:00。
午後から雨の予報だったので簡単なルート二本で1時に帰りました。
そこでは3歳位を連れた親子や70歳くらいの年配の方がクライミングをしており、非常に身近なスポーツだと感じました。
チンクトリにバスで行くときは降り場が時刻表には書いてない。ファルツァーゴ行きで途中下車するが、事前にチケット売り場で確認しておいたほうがいい。
7/15:コルチナの街を散策
観光案内所は夜6時に日本語のわかる人が来ると言ってました。
登山ガイド組合でフエラータのガイドは110ユーロ以下とのこと、結構安い感じです。
街中をうろうろしていると屋根にカメラを載せたアップルカーと2度すれ違いました。映ったかも!?
7/16:トファーナローズ Via Constantini-Gherdina
5:30ホテルー6:30取り付きー12:00ピークー12:30山小屋-14:00駐車場-14:30ホテル
ロープ75mダブルロープで何回かローブ一杯まで登る。ガイドブックでは20ピッチ(550m)を15ピッチほどで登る
ルートは岩の角がとても鋭利で痛いが安定しており、ホールドは豊富で安心して登れた。
ただところどころカチである。2回目のクライミングで慣れてきたということと、ガイドもかなり早く登ったこともあり、100m/時間のペースでお昼には、トップに出てしまった。500m下の取り付きまで見え高度感が半端ない
7/17:プンタアンナ(フェラータ)
8:30-45バスー(徒歩・リフト)-10:00取り付き-11:00中間地点-14;00バス停
コルチナから西に見える大きな山がトファーナ。(ピークまでゴンドラがあるが今年は工事中で乗れなかった)
ピークから南に延びる尾根上にプンタアンナのフェラータが上級コースとしてある。本日はここに行った。ゴンドラが工事中のため、ピークまで行くと下山に5時間前後かかるので、今回は中間地点で降りた。
下のほうは大きなスキー場で、途中リフトが止まっていたため、1時間以上歩いて登ることになった。帰りは下りなので楽だが、登りはコルチナのバス停からタクシーにすれば良かった。(タクシーは日本より高い)
コースは初級のクライミング程度であり未経験者には危険であるが、一時間ほどで中間地点まで登ってしまいあっという間に終わる。SC18のフェラータを初日に登ってしまったため少し物足りない。ある程度やっている人にはSci18の方がハードで面白いと思う。
標高は取り付きが2300mで中間地点が2700mと、日本では考えられない高度である、因みにホテルが1300mある。下りは細かな石のガラ場で足が取られる。取り付きから尾根の反対側に降りたので、戻るのに別のフェラータを通る。そこは下ノ廊下のようなコの字にえぐられた崖道で、脇には花が咲きとてもきれいである。
下はスキー場なのでおしゃれなコテージが点在し皆がゆったりとくつろいでいる。私は3時にホテルにつき、ゆっくりワインをいただいた。
7/18:Cinque Torri(チンクエトリ)でクライミング後ハイキング
8:18-40バス(ファルツァーゴ行き)-10:00チンクトリ(12:00までクライミング)-ファルツァーゴまでトレッキング15:15着
今回はK藤さんが出発前に膝を痛めてしまい、予定通りの行動ができなかった。私は申し訳なかったが一人で、トレッキングに行かせてもらった。
チンクトリからファルツアーゴまでは3時間ほど。途中欲張ってフェラータにも登った。
トレッキングはお花がいたるところに咲いていてとてもきれい。
年寄りの夫婦から子供連れ若者いろいろな人がのんびりとトレッキングを楽しんでいる。
日が陰るととても寒く。バスの時間17:10まで2時間も待たされたのにはまいった。
7/19:ホテル変更
計画ではボルツァーノに行く予定だったが、K藤さんの膝が悪くトレッキングがでけないため引き続きコルチナに滞在することにした。
7/20:Piz Ciavazes. Big Michelozzo
6:00ホテル出発ー7:30着ー8:00頃スタートー12:00ピーク-14:00懸垂下降終了
先行者がいたため途中待たされる。彼らはトポを見ながらだったが、やはりルートがわかりのにくく手間取っている。何回か我々のガイドにルートを聞いていた。
12:00にクライミングが終わり懸垂5回で2時前に降りる
ここの岩質は固く角がない。場所によっては滑りやすい。
トラバースで2メートルほど下降するところがスタンスが少なくとても怖かった。
木曜日はガイドのシモーネはモンテローザに行くという。ガイドも忙しく休む間がないようである。
7/21:トレチメのトレッキング
トレチメの周辺はきれいなトレッキングコースである。コルチナから片道6.4ユーロのバスで行く。
バスは本数が少なく、フェラータまで欲張って登ったので、14:20のバスに乗るには結構忙しかった。
バスに乗るときミズリーナで乗り換えと言われたが、人数の関係か急遽乗り換えはなくなりそのまま向かった。
今迄は毎日青空だったが今朝は珍しく曇り空。帰りの時間は大雨になった。今年は天気に恵まれているようだ、悪いときは数日連続で雨だそうである。
流石に体も疲れてきて今朝は歩くと左足の付け根が痛い。
トレチメのフェラータもクライミングの経験があるとそれほど難しくはないので、今日はハーネスを持っていかなかった。というか忘れた。(滑落するような場所はいっぱいあります)
7/22:Sci18フェラータに再登
そろそろ疲れも溜まってきたため、近くのフェラータに行った。せっかくなので、ワイヤーを使わずどこまで登れるか挑戦してみた。
大半は9~10c程度と思うが、厳しいところは11以上軽くあり、私には無理だった。
シルベスター・スタローンのクリフハンガーの撮影場所の山小屋があったが、朽ちていて大したことはなかった。当然だが周囲の景色は合成で映画とは全然違った。
今回は登りだけゴンドラを使い下山は歩いた。結構急で途中泥道になっており滑りやすく危ない下山だったが、地図も持たない子供連れの家族がいた。道を聞かれたので教えてあげたが、無事に下山しただろうか?
7/23:コルチナ近くのクライミング
K藤さんがガイドから聞いた近くの岩場に行く。どれも11以上で登れるルートが少なく、数本登ってホテルに戻る。
7/24:帰国
飛行機の搭乗までに時間があったため、一人でベネチア観光をした。人で溢れかえった狭い通路は何も魅力を感じることはなかった。こんかいは毎日天気に恵まれとても楽しい経験が出来ました。できれば来年もドロミテに行きたいと思います。
今回はK藤さんに色々お世話になりました。ありがとうございました。
<S谷記>
<以下、K藤記>
今回はドロミテに行く二週間前に右膝の腹側靭帯を損傷してしまい、現地で数日は、あまり動けませんでした。S谷さんには計画通りに行かずご迷惑をおかけしてしまいました。
7/18と7/21 チンクエトリクライミング
チンクエトリというのは5本指という意味です。アパートからもつぶれたグローブのようなチンクエトリの岩峰が見えます。コルチナからバスで20分、そこからロープウェイで15分、歩き15分で岩場取付きです。高さ150m位、3級のマルチから7bのスポーツルートまで、技量に応じて様々なルートがあります。私たちは3~5ピッチのマルチを2本とショートルートで遊びました。
7/20 ピッザ・チバスの岩場
膝が痛いので、アプローチの短い岩場を紹介してもらいました。車降りて徒歩15分で取付きです。標高差300m強の岩場がゴロゴロしています。濡れた部分やⅥのトラバースがいやらしい感じでしたが、ロケーションは最高でした。
先行はインスブルックから来た若者と爺さんでした。爺さんビレー器使わず、半マスト結びでビレーしてました。
7/22 Torre del Sella NO4 2605m (K藤とガイド)
このルート(V.Malsiner el Morder)は北面でしたが風もなく快適でした。標高差300m、登攀距離 355mでピッチグレードⅥです。易しいのは最後のルンぜ位(Ⅳ+)で、5.9~5.10が続く感じです。他のタワーも。特にNO2などグランカピサンを小ぶりにした感じで次に登ってみたいです。但し、ルートファインデングは難しいと思います。このルートは1961年初登ですが、ランニングピンはほとんどなく、カムや穴にビレーします。ルートも読みにくいです。
今回のドロミテは、いろんな所に行きましたが、易しい初心者コース(ⅢやⅣ)でクライマーが沢山登る所や、6b(ⅦかⅦ+)以上のルートにはボルト(ピン)が見えました。クラシックなルートは極端に残置が少ないように感じました。登りたいルートの有益な情報は現地のクライマーやガイドに聞いてからがよいと思いました。アプローチは車をおりて20分です。
真ん中がセラタワーNO2。登ったのは左の岩峰
その他・雑感
東部アルプス・・・オーストリア~ドロミテ~スロベニアは西部アルプス(シャモニ・スイス)方面と比べて天候の崩れが小さく、比較的天気が安定しています。特にドロミテは1000mを超える大きな壁からスポーツルートまで、比較的短いアプローチで取付けますし、アイゼン・ピッケルもいりません。100m/1時間で登るスピードがあれば5~600mの壁を午前中にかたずけて、午後から酒飲みが可能です。缶ビールは100円以下。ワインは200円も出せば私たちには高級品でした。二人で飲んで食って1日1000円以下でした。物価は安いです。飛行機代・アパート代・食費・バス代で、20万前後です。(クライミングガイド代は別。)
来年は山形の爺様とドロミテクライミング&オーストリア最高峰を考えております。(8月下旬~9月上旬)まだ空きがありますので、興味のある方はご連絡ください。ビールとピザで8ユーロ弱
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